JICA海外協力隊の世界日記

パプアニューギニア便り

子どもたちと作る、数字の物語

Apinun(トクピジン語でこんにちは)!青少年活動でオロ州ポポンデッタ小学校に派遣されている Yu です。
今回は、現地での算数授業を通して「協力隊だからできる教育支援のかたち」をお伝えしたいと思います。


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11」がすぐに解けない──そこにある現実

ここでは、3年生になっても、1桁の足し算や引き算につまずく子どもがたくさんいます。
指を使っても間違えてしまう。引き算の意味がつかめない。
数の概念そのものをイメージできていない——。

日本では“当たり前”と思っていた学びの土台が、ここでは“まだこれから”という状況。

原因のひとつは、過去に教科書がなかったこと。

今は国定教科書がありますが、数が足りず、教材もほとんどありません。
でも、それが「だからできない理由」にはなりません。

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手作り教材と工夫が、学びをつなぐ

数の合成と分解(例:734624)を教えるために、
私は空き箱で「数ボックス教材」を作りました。

中にボールを入れたり移動させたりしながら、数の仕組みを“目で見て”理解できるように工夫

引き算では、魚がえさを食べて数が減る仕掛けを使った視覚教材も登場!

6−3=?」という抽象的な式も、6匹の魚が3匹食べたら…」という物語にすると、

子どもたちはぐっと理解しやすくなります

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子どもたちが熱中する“学びの瞬間”

そしてなにより盛り上がったのが、教科書に載っていたカードゲーム。

先生が見せた数字に対して、答えになる足し算・引き算の式を探すゲームです。

普段はじっと座っていられない子も、

先生!あったよ!」とカードを高く掲げて走ってくる姿に、学びの力を感じました

教材がなくても、机が足りなくても、

子どもたちは“楽しい”と感じた瞬間に集中力と吸収力を発揮する——それを肌で実感しています。

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協力隊だからこそ見える景色がある

もちろん、うまくいかないこともあります。教材は手作り。言葉も違う。

でも、だからこそ一つひとつの工夫や一人ひとりとの対話が、生きた学びに変わっていくのです。

協力隊の活動には、派手な舞台も完成されたマニュアルもありません。

あるのは、自分の手で考え、動き、目の前の子どもたちと向き合う毎日。

もし、あなたが「教育に関わりたい」「自分の力を社会に役立てたい」と思っているなら、

この場所で、あなただからこそできることがきっとあります。

この記事について、もっと詳細を知りたい方はこちら→WANTIM 17号

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