2025/06/05 Thu
小学校 活動
子どもたちと作る、数字の物語


Apinun(トクピジン語でこんにちは)!青少年活動でオロ州ポポンデッタ小学校に派遣されている Yu です。
今回は、現地での算数授業を通して「協力隊だからできる教育支援のかたち」をお伝えしたいと思います。
「1+1」がすぐに解けない──そこにある現実
ここでは、3年生になっても、1桁の足し算や引き算につまずく子どもがたくさんいます。
指を使っても間違えてしまう。引き算の意味がつかめない。
数の概念そのものをイメージできていない——。
日本では“当たり前”と思っていた学びの土台が、ここでは“まだこれから”という状況。
原因のひとつは、過去に教科書がなかったこと。
今は国定教科書がありますが、数が足りず、教材もほとんどありません。
でも、それが「だからできない理由」にはなりません。
手作り教材と工夫が、学びをつなぐ
数の合成と分解(例:7=3+4、6=2+4)を教えるために、
私は空き箱で「数ボックス教材」を作りました。
中にボールを入れたり移動させたりしながら、数の仕組みを“目で見て”理解できるように工夫。
引き算では、魚がえさを食べて数が減る仕掛けを使った視覚教材も登場!
「6−3=?」という抽象的な式も、「6匹の魚が3匹食べたら…」という物語にすると、
子どもたちはぐっと理解しやすくなります。
子どもたちが熱中する“学びの瞬間”
そしてなにより盛り上がったのが、教科書に載っていたカードゲーム。
先生が見せた数字に対して、答えになる足し算・引き算の式を探すゲームです。
普段はじっと座っていられない子も、
「先生!あったよ!」とカードを高く掲げて走ってくる姿に、学びの力を感じました。
教材がなくても、机が足りなくても、
子どもたちは“楽しい”と感じた瞬間に集中力と吸収力を発揮する——それを肌で実感しています。
協力隊だからこそ見える景色がある
もちろん、うまくいかないこともあります。教材は手作り。言葉も違う。
でも、だからこそ一つひとつの工夫や一人ひとりとの対話が、生きた学びに変わっていくのです。
協力隊の活動には、派手な舞台も完成されたマニュアルもありません。
あるのは、自分の手で考え、動き、目の前の子どもたちと向き合う毎日。
もし、あなたが「教育に関わりたい」「自分の力を社会に役立てたい」と思っているなら、
この場所で、あなただからこそできることがきっとあります。
この記事について、もっと詳細を知りたい方はこちら→WANTIM 17号
写真や動画はこちら → @briidge_png_jpn(Instagram)
他のPNG隊員の記事 →JICA海外協力隊 世界日記(パプアニューギニア)
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